この記事の要点
- Hacobuは2026年10月29日、特定荷主のCLO選任実態調査を公表し、選任済みが67.3%に達した一方、改革の約7割が法令対応などの準備段階にある実態を明らかにした。
- ファーストロジは2026年11月1日、千葉県柏市の柏ロジスティクスセンターにおいて税関長より保税蔵置場の許可を取得し、2026年11月10日より運用を開始すると発表した。
- ロジレスは2026年10月30日、EC自動出荷システム「LOGILESS」とお買い物アプリ「カウシェ」の受注・在庫データの自動連携を開始したと発表した。
- 3件から見えるテーマ:法規制への準拠や輸入・多モール展開の拡大を背景に、荷物の滞留を防ぎ円滑に流すための「出荷・通関の管理手続き」の適正化が進んでいる。
改正物流効率化法が施行されて以降、荷主企業にはCLO(物流統括管理者)の設置をはじめとする責任体制の構築が義務付けられました。一方で、越境ECや国内多モール展開といった販路の多様化が進むなか、現場では法令遵守や誤出荷防止のための事務負荷が急速に増大しています。2026年11月1日に関連する3件のニュースは、特定荷主の統括責任、輸入貨物の保税保管、そしてEC受注の自動出荷という異なる領域から、現場の「出荷・通関の管理手続き」をいかに整えるかという共通の課題に向き合っています。
【政策】Hacobu、特定荷主のCLO選任状況と物流改革の進捗に関する実態調査を公表
株式会社Hacobuは2026年10月29日、全国の特定荷主企業に勤務する101名を対象とした「CLO設置と取り組みに関する実態調査」(調査期間2026年10月2日~10月16日)の結果を公表しました。物流統括管理者(CLO)の選任状況は「選任済み」が67.3%、「選任予定」が9.9%で合計77.2%となり、同一条件で実施された2026年2月調査の「選任済み」30.7%から移行が大きく進んでいます。選任済みCLOの属性は「従来の物流部門のトップ」が45.6%で最多となり、「経営企画などの全社横断部門の役員クラス」が22.1%、「主力事業のトップ」が20.6%、「社長、副社長」が5.9%と続きました。一方で、物流改革全体の進捗は「法令対応中心」が26.7%、「現状把握・データ収集」が21.8%、「改革戦略・ロードマップ策定」が20.8%となり、準備段階が計69.3%を占め、定量成果を確認できている企業は11.9%にとどまっています。指標別では荷待ち時間の改善実感(改善・やや改善の合計)が56.4%に達した一方、積載効率の改善実感は38.6%にとどまり(「変わらない」が42.6%)、物流コストは48.5%の企業で「上昇した」「やや上昇した」と回答されています。
出典: 株式会社Hacobu「Hacobu、CLO実態調査。CLO選任済みは約7割に。物流改革は「準備段階」から「実行フェーズ」へ–改正物流効率化法の本格施行から半年」(PR TIMES/2026年10月29日発表、2026年11月1日取得)
編集部の見方
CLOの選任が約7割に達したことは、形式的な法対応の第一関門をクリアしたことを意味します。しかし、荷待ち時間の改善(56.4%)に比べて積載効率の改善(38.6%)が遅れている点は、物流改革が「自社拠点の運用見直し」から「取引先との商慣行の見直し」へと難易度を上げたことを示しています。荷待ち時間は予約システム等の導入で自社完結しやすい一方、積載効率の向上は発注ロットや納品頻度、リードタイム設定など取引条件そのものに踏み込まなければ達成できません。CLOが単なる社内役職にとどまらず、他部門や顧客と契約条件の変更を交渉できる権限を発揮できるかが、今後の成果の分かれ目となります。
【拠点】ファーストロジ、千葉県柏市の柏ロジスティクスセンターで保税蔵置場の許可を取得
株式会社ファーストロジは2026年11月1日、千葉県柏市大青田の「柏ロジスティクスセンター」において、税関長より保税蔵置場の許可(監指令第332号)を取得したと発表しました。初回許可期間は2026年11月1日で、2026年11月10日より運用を開始します。蔵置貨物の種類は輸入一般貨物および通販貨物です。保税蔵置場は、税関長の許可を受けて外国貨物を保税状態で蔵置できる施設であり、輸入許可前の貨物を関税等の納付前に保管できる役割を担います。同社はEC事業者向けに入荷・保管・受注処理・梱包・出荷・配送までの一貫した物流サービスを提供しており、同センターで保税蔵置場の運用を開始することで、輸入許可前の外国貨物を保管できる体制を整え、国内物流と国際物流をつなぐ対応力を強化するとしています。
出典: 株式会社ファーストロジ「株式会社ファーストロジ、千葉県柏市の柏ロジスティクスセンターにて「保税蔵置場」の許可を取得」(PR TIMES/2026年11月1日)
編集部の見方
輸入通販を手がけるEC事業者にとって、港湾近隣の保税倉庫から内陸の配送倉庫へ貨物を移動させる横持ち輸送は、運賃コストと納期の両面で大きなボトルネックでした。内陸の大型消費地近接拠点である柏で保税蔵置場の許可を取得したことにより、輸入貨物の通関待ち保管と国内EC向けのピッキング・出荷作業を同一拠点で一体運用できるようになります。関税や消費税の納付タイミングを国内流通の直前まで遅らせることでキャッシュフローを改善できるだけでなく、保税から出荷への切り替え手続きを倉庫内で直結させるオペレーションの短縮効果は大きな強みとなります。
【DX】ロジレス、EC自動出荷システム「LOGILESS」がお買い物アプリ「カウシェ」と自動連携
株式会社ロジレスは2026年10月30日、同社が提供するEC自動出荷システム「LOGILESS」と、株式会社カウシェが運営するお買い物アプリ「カウシェ」との自動連携を開始したと発表しました。この連携により、カウシェで発生した受注情報のLOGILESSへの自動登録や、LOGILESSで管理する在庫情報のカウシェへの自動反映が可能になります。ロジレスは背景として、経済産業省が2026年10月21日に公表した調査で2025年の国内BtoC-EC市場規模が27.6兆円(前年比5.5%増)に拡大する一方、物販系EC化率は9.8%(前年比0.02ポイント増)にとどまっており、EC事業者に新販路開拓が求められている状況を挙げています。しかし販路追加に伴う手作業の受注処理や在庫管理の負担、売り越しリスクが出店拡大の障壁になっていたことから、出荷業務をLOGILESSで一元化したままカウシェへ出店できる環境を提供したとしています。なお、作業時間の削減幅など定量的な効果は公表されていません。
出典: 株式会社ロジレス「EC自動出荷システム「LOGILESS」、お買い物アプリ「カウシェ」と自動連携が可能に」(PR TIMES/2026年10月30日発表、2026年11月1日取得)
編集部の見方
新興のECモールやソーシャルコマースへの出店は売上拡大の有効な手段ですが、運用が手作業のままでは受注確認や在庫配分のミスが頻発し、現場を疲弊させます。特にセール時やSNSでの拡散時には注文が急増するため、手作業のCSV連携では出荷指示が間に合わず、配送遅延や売り越しによるキャンセルを引き起こしかねません。受注の取り込みから在庫の引き当て、出荷指示の作成までを標準化された手続きとして自動で流す仕組みを整えることは、単なる事務工数の削減にとどまらず、販路を広げてもバックヤードを破綻させないための必須の安全弁といえます。
共通キーワード:「出荷・通関の管理手続き」
2026年11月1日の3件は、特定荷主の法的義務、輸入通関を伴う倉庫拠点、ECモールの受注連携と、対象とする領域は異なりますが、いずれも「出荷・通関の管理手続き」をいかに整え、荷物の流れを停滞させないかという課題で一致しています。
| 発表 | 対象となる手続き | 管理体制・手段 |
|---|---|---|
| Hacobu(特定荷主実態調査) | 特定荷主としての出荷・輸送管理 | CLO選任と中長期計画、データ基盤整備 |
| ファーストロジ(柏拠点) | 輸入外国貨物の保管と通関手続き | 保税蔵置場許可の取得による拠点内一元管理 |
| ロジレス(カウシェ連携) | モール受注から倉庫への出荷指示手続き | OMS/WMS一体型システムによる自動連携 |
法令対応にせよ、輸入貨物の受け入れにせよ、新規モールの開拓にせよ、物流が滞る最大の要因は「手続きの停滞」です。特定荷主が輸送データを把握できなければ改善計画が立てられず、保税手続きが分離していれば横持ちと待機が発生し、ECの受注処理が手作業であれば倉庫への出荷指示が遅れます。3社はいずれも、手続きの責任体制を明確にし、管理プロセスを整えることで、実務のボトルネックを取り除く方向へ進んでいます。
編集部の視点:出荷条件と免責の線引きが、委託契約の再交渉を迫る
この取引条件の厳格化は、EC・通販事業者が物流倉庫や配送会社と結ぶ委託契約にも波及しています。たとえば、保税蔵置場を利用した輸入通販の取り扱いでは、通常の国内保管とは異なり、通関書類の不備による留置きや検査対応といった「予期せぬ附帯作業」がどの費用区分に含まれ、誰が責任を負うのかを契約書上で明確に取り決めておく必要があります。また、新興モールへの出店で出荷件数が急増した場合、倉庫との間で取り交わしている「1日の最大出荷可能数(出荷上限キャップ)」や「当日出荷の締切時刻」を超過した際の追加料金や出荷遅延の免責基準が曖昧であれば、繁忙期に深刻なトラブルへと発展します。
物流コストの上昇が現実となるなかで、荷主企業に求められるのは、委託先に対して一律の値下げを要求することではありません。出荷指示の確定時刻を前倒しする代わりに基本作業料を抑える、あるいは附帯作業の発生基準をデータで明確化して相互の不信を防ぐといった、取引条件を具体的に再定義する交渉力です。出荷や通関にかかる管理手続きを可視化することは、単なる実務の効率化にとどまらず、パートナーである物流事業者と対等な取引関係を維持するための最大の防衛策となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年11月1日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?
A. 主な発表は3件です。Hacobuによる特定荷主企業のCLO選任済みが約7割に達したとする実態調査の公表、ファーストロジによる千葉県柏市の柏ロジスティクスセンターでの保税蔵置場許可取得、ロジレスによるEC自動出荷システム「LOGILESS」とお買い物アプリ「カウシェ」の自動連携開始です。
Q2. 改正物流効率化法においてCLO(物流統括管理者)の選任後に求められる実務は何ですか?
A. 単なる役職の設置にとどまらず、中長期計画の作成や提出、荷待ち時間・荷役時間の削減、積載効率の向上といった施策の実行と定量成果の創出が求められます。特に積載効率の改善には、取引先との出荷ロットや納品頻度の見直しなど、商慣行に踏み込んだ調整が必要となります。
Q3. EC事業者が保税蔵置場を活用した物流拠点を導入するメリットは何ですか?
A. 輸入許可前の外国貨物を関税や消費税の納付前に保管できるため、キャッシュフローの負担を軽減できます。また、港湾部からの横持ち輸送を削減し、通関待ちの保管から国内向け個別配送への切り替えを同一拠点内で完結させることで、リードタイムと輸配送コストの圧縮が可能になります。
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更新履歴: 2026年11月2日 公開
