この記事の要点
- 国土交通省は2026年9月1日、港湾手続きプラットフォーム「サイバーポート」を活用し、港湾貨物運送事業労働災害防止協会横浜支部で「危険物・有害物事前連絡表(白紙)」を全国で初めてデジタル受領する運用を開始したと発表した。
- サントリーロジスティクスは2026年9月2日、豊田自動織機が開発したマルチロードハンドラー仕様のトラック荷役対応自動運転フォークリフト「Rinova Autonomous」の実証実験を2026年11月から浦和美園配送センターで開始すると発表した。
- セブン‐イレブン・ジャパンは2026年9月1日、物流負荷軽減のため、おにぎりやサンドイッチなど約60アイテムの製造回数を1日3回から2回に集約する取り組みを、東北・四国・千葉県一部エリアの約1750店舗に拡大したと発表した。
- 3件から見えるテーマ:いずれの取り組みも、書類提出・フォーク積み替え・製造供給といった「荷役・配送の段取り回数」の削減により、物流現場の待機と工数を圧縮する方向に向かっている。
物流現場において、走行や実作業そのものの時間だけでなく、それに付随する準備や切り替えなどの「段取り」にかかる手間が現場の逼迫を招いています。2026年9月2日に発表された3件のニュースは、港湾手続き、配送センターでのトラック荷役、コンビニ向け商品の製造・供給という異なる現場において、「荷役・配送の段取り回数」を削減・集約する試みとして捉えることができます。
【政策】国交省、横浜港で港湾危険品書類のデジタル受領を全国初運用開始
国土交通省は2026年9月1日、港湾手続きをデジタル化するデータプラットフォーム「サイバーポート」を活用した危険品関連書類のデジタル化において、港湾貨物運送事業労働災害防止協会横浜支部で「危険物・有害物事前連絡表(白紙)」をデジタル受領する運用を開始したと発表しました。港湾での危険品取り扱いでは、荷主や海貨業者が「白紙」を港湾労災防止協会へ、「危険物明細書(赤紙)」をコンテナヤードへ提出する必要がありますが、従来はFAXやバイク便などの紙媒体による送付が中心でした。今回の運用開始は全国初の事例であり、今後は「白紙」について今年度中に名古屋港と大阪港、来年度以降に四日市港への展開を目指すほか、「赤紙」のデジタル受領に向けた取り組みも進めるとしています。
出典: LNEWS「国交省/港湾の危険品関連書類のデジタル受領、横浜港で全国初の運用開始」(2026年9月2日)
編集部の見方
危険品輸送における書類提出は、誤記載が重大な事故につながるため厳格なチェックが求められる一方、紙の受領のためにバイク便やFAXを走らせる段取り自体が海貨業者や荷主の大きな事務負担になっていました。プラットフォーム経由でデジタル受領できるようになれば、書類の物理的な受け渡しにかかっていた時間と手間がなくなり、関係者間での事前調整のリードタイムが短縮されます。横浜港を皮切りに名古屋港や大阪港など主要港へ拡大していくことで、港湾物流全体のペーパーレス化と手続きの標準化が進むと期待されます。
【技術】サントリーロジ、マルチ仕様の自動運転フォークリフト実証へ
サントリーロジスティクスは2026年9月2日、豊田自動織機が開発したマルチロードハンドラー仕様のトラック荷役対応自動運転フォークリフト「Rinova Autonomous」を用いた実証実験を、2026年11月から浦和美園配送センター(埼玉県さいたま市)で開始すると発表しました。同機はフォークの数を2本と4本に切り替えることができ、1台で1パレット搬送と2パレット搬送の両方に対応可能な3D-SLAM誘導方式の自動運転フォークリフトで、国内初とされています。同センターでは2021年に入庫製品格納を自動化したものの、トラックへの積み込みや荷おろしは人手で行っていました。実証を通じて実運用での精度や安定性を検証し、荷おろしから格納、保管、積み込みまで一連の作業すべての自動化を目指して2028年9月以降の実稼働を予定しています。
出典: LNEWS「サントリーロジ、豊田自動織機/トラック荷役に自動運転フォークリフト活用、11月から実証へ」(2026年9月2日)
編集部の見方
飲料物流の現場では、大量搬送が可能な4本フォークと、細かな積み付けが必要な2本フォークの使い分けが日常的に行われていますが、従来は荷役条件に合わせて車両を乗り換えるか作業を分担する必要がありました。1台でフォーク本数を切り替えられる機体が登場したことで、トラック荷役における「フォークの段取り替え」や作業の境目が解消されます。入出庫だけでなくトラック荷役まで自動化の対象が広がることは、現場のフォークリフトオペレーター不足への直接的な解決策になり得ます。
【企業戦略】セブン‐イレブン、おにぎり等の製造回数を削減し1750店舗へ拡大
セブン‐イレブン・ジャパンは2026年9月1日、物流負荷の軽減と持続可能なサプライチェーン構築を目的に、おにぎり・弁当・サンドイッチ約60アイテムの製造回数を1日3回から2回に集約する取り組みを、東北・四国・千葉県一部エリアの約1750店舗に拡大したと発表しました。この施策は2026年2月から北海道エリア約1000店舗で先行実施されていたもので、産学連携の新技術により製造時の衛生レベルを高め、品質や美味しさを維持したまま鮮度延長を実現したことで可能となりました。先行実施では製造・輸送効率の向上やフードロス・CO2排出量の削減効果が確認されており、商品供給面で製造効率や長距離輸送の課題を抱える東北(青森・秋田・岩手・宮城・山形)、四国、千葉(房総)へ広げた形です。なお、店舗への総配送回数に変更はなく、同社は2027年春をめどに全国展開を目指すとしています。
出典: LOGI-BIZ online「セブン‐イレブン、物流負荷軽減へ東北・四国・千葉の一部エリア1750店舗でおにぎりなどの製造回数削減開始」(2026年9月2日)
編集部の見方
コンビニエンスストアの強みであった「1日複数回の高頻度製造・納品」は、消費者の利便性を支えてきた反面、工場での小ロット製造や配送準備の段取り回数を過密にする要因でもありました。技術的な鮮度延長をテコに製造回数を1回減らすことは、製造ラインの切り替えや仕分けの段取りを劇的に減らし、製造・物流の両面で余力を作り出すアプローチです。配送便数そのものは維持しながらも、供給サイクルの段取り回数を整理することで、持続可能なサプライチェーンへの転換を図っています。
共通キーワード:「荷役・配送の段取り回数」の削減
物流や製造の現場では、実際の作業時間そのものよりも、作業間の「切り替え」「受け渡し」「準備」といった段取りの回数が多すぎることが、現場を細切れにし、待機や過負荷を生み出す主因となっていました。国交省の手続き電子化、サントリーロジのフォーク仕様切り替え自動化、セブン-イレブンの製造回数集約は、いずれも工程内に散らばっていた「段取りの回数」を減らすことで、全体のオペレーションを滑らかにつなぎ直す試みといえます。
| 発表主体(2026年9月2日発表) | 削減する「段取り回数」の対象 | 見直し・効率化の手段 |
|---|---|---|
| 国土交通省(横浜港) | 紙書類(白紙)のバイク便・FAX送付段取り | サイバーポートによる危険品書類のデジタル受領 |
| サントリーロジスティクス・豊田自動織機 | 1パレット/2パレット荷役のフォーク切り替え段取り | マルチロードハンドラー搭載の自動運転フォークリフト |
| セブン‐イレブン・ジャパン | 米飯・調理パンの1日3回にわたる小分け製造段取り | 鮮度延長技術を活用した1日2回製造への集約 |
編集部の視点:1日数回の「締め時刻」が、庫内と配送の段取りを細切れにする
締め時刻を小刻みに刻んで出荷リードタイムを極端に短くしようとすると、倉庫現場では少数の注文ごとに帳票を発行し、同じ棚を何度も往復する「段取りの頻発」が発生します。その結果、作業者の歩行ロスが増え、出荷締め切り間際の突発的な残業や車両待機を招くことになります。本来必要なのは、顧客への到着日を維持しつつ、庫内の段取り回数を最小化できるように受注締め時刻と出荷バッチの時間割を再設計することです。
荷役や配送の段取りを減らすことは、単なる現場の省力化にとどまらず、1日のタイムスケジュールに確実な「バッファ」を生み出します。過剰な即時出荷に追われて現場が疲弊する前に、自社の受注締め時刻が作業の段取りを不必要に増やしていないか、見直すタイミングに来ています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年9月2日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?
A. 国土交通省による横浜港での危険品関連書類「白紙」のサイバーポート経由デジタル受領の開始、サントリーロジスティクスと豊田自動織機によるマルチロードハンドラー仕様自動運転フォークリフト「Rinova Autonomous」の実証実験開始発表、セブン‐イレブン・ジャパンによるおにぎり・サンドイッチ等の製造回数削減(1日3回から2回へ集約)の東北・四国・千葉一部エリア約1750店舗への拡大の3件です。
Q2. セブン‐イレブンが商品の製造回数を1日3回から2回に削減した狙いは何ですか?
A. 産学連携の新技術で衛生レベルを高め鮮度延長が可能になったことを受け、製造ラインの切り替えや仕分けの段取り回数を削減して製造・輸送の効率向上とフードロス削減を図り、持続可能なサプライチェーンを構築するためです。
Q3. マルチロードハンドラー仕様の自動運転フォークリフトにはどのような利点がありますか?
A. 1台でフォークの本数を2本と4本に自動で切り替えられるため、1パレット搬送と2パレット同時搬送の双方に対応でき、トラック荷役や保管の条件に応じて車両を乗り換える手間や作業の段取りを省いて自動化を実現できます。
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更新履歴: 2026年9月3日 公開

