この記事の要点
- 国土交通省は2026年9月8日、2026年度の「自動物流道路」社会実装に向けた実証実験の採択事業者を公表した。
- エスビー食品、オタフクソース、エバラ物流、T2の4社は2026年9月8日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた共同輸送実証を関東ー中国エリア間で実施すると発表した。
- ダイフクとJDSCは2026年9月8日、AIエージェントが自律的に動作を計画・実行するフィジカルAI技術を検証し、未学習商品と仕分け先の組み合わせで成功率97%を達成したと発表した。
- 3件から見えるテーマ:いずれも幹線輸送から庫内作業に至るまで、人手を介さず荷物を移動・仕分けするための「無人搬送の走行・仕分け制御」の高度化に向かっている。
物流業界におけるドライバーや庫内作業員の人手不足が深刻化する中、輸送と荷役の各工程をいかに自律化・無人化できるかが問われています。物流2024年問題以降の輸送力維持に向けて、幹線道路や鉄道を結ぶ運行から倉庫内のピッキングに至るまで、機械や車両を自律的に動かす技術の検証が加速しています。2026年9月8日に発表された3件のニュースは、いずれも「無人搬送の走行・仕分け制御」を実用化水準へと引き上げる取り組みとして読み解くことができます。
【政策】国交省、自動物流道路の2026年度実証実験の採択事業者を公表
国土交通省は2026年9月8日、2026年度の「自動物流道路」社会実装に向けた実証実験の採択事業者を公表しました。実証は既存技術や施設を活用してコンセプトを検証するもので、「拠点における荷役」(テーマ1)と「複数台の搬送機器の自動走行」(テーマ2)の2テーマで実施されます。テーマ1ではロジスネクストや豊田自動織機、清水建設などのグループが参加し、車両や搬送機器の出入り量に応じた処理能力や必要面積を机上検討やシミュレーションで検証します。テーマ2では大成建設や鹿島建設などのグループが、本線や拠点で3台以上の機器による自動走行や車線変更、分流・合流などを実証します。
出典: LNEWS「国交省/自動物流道路2026年度実証実験の採択事業者を公表」(2026年9月8日)
編集部の見方
自動物流道路の実装に向けた議論が、単なる走行テストから「拠点での荷役処理能力」と「複数台の並行走行制御」という実運用上のボトルネック検証に踏み込んだ点が注目されます。専用空間を走らせる技術があっても、拠点での積み替え処理が滞れば道路全体が停滞し、複数台の車線変更や合流が制御できなければ輸送密度を上げられません。建設、物流、電機、システムなど異業種が連携して実証を進める体制は、この取り組みが単一の車両開発ではなく総合的なインフラ構築であることを示しています。
【企業戦略】エスビー食品など4社、自動運転トラックと貨物鉄道の共同輸送実証を開始
エスビー食品、オタフクソース、エバラ物流、T2の4社は2026年9月、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせて輸送する「モーダルコンビネーション」の実証を関東ー中国エリア間で実施すると発表しました。物流業界で初めて、自動運転トラックと鉄道を組み合わせたモーダルコンビネーションを用い、複数社の製品を往路・復路で分けて共同輸送する枠組みです。トラックドライバー不足に対応できる効率的な輸送モデルの実現可能性を検証し、将来の商用運行参画を視野に連携を進めるとしています。
出典: LOGI-BIZ online「自動運転トラック/貨物鉄道のモーダルコンビネーションでエスビー食品/オタフクソース輸送へ」(2026年9月8日)
編集部の見方
自動運転トラック単体での長距離輸送実証にとどまらず、モーダルシフトの有力手段である貨物鉄道と組み合わせたうえで、複数荷主による往復共同輸送に踏み込んでいる点が極めて実務的です。幹線輸送の一部に鉄道を組み込み、その前後の接続や特定区間に自動運転トラックを充てることで、車両の待機や片荷(帰り便の空車)リスクを荷主間で相殺する設計になっています。荷主企業が自社の枠を超えて輸送リソースを共同利用するモデルは、ドライバー不足が常態化する中での幹線維持に向けた現実的な解といえます。
【技術】ダイフクとJDSC、フィジカルAIによる自律仕分けで成功率97%を達成
ダイフクとJDSCは2026年9月8日、AIエージェントが指示や周囲の状況を理解してロボットの動作を自律的に計画・実行するフィジカルAI技術を検証し、シミュレーション環境において「学習していない商品」と「仕分け先」の組み合わせで成功率97%を達成したと発表しました。本検証はAWSジャパンの支援プログラム採択プロジェクトとして進められたものです。作業者が自然言語で指示を出すと、AIエージェントが指示内容と周囲の状況を踏まえて作業を実行可能な単位に分解し、ロボットを自律制御するアーキテクチャを構築したとしています。
出典: LNEWS「ダイフク、JDSC/ロボットの動作を自律的に計画・実行するフィジカルAI技術を検証、成功率97%達成」(2026年9月8日)
編集部の見方
従来の庫内ロボットは、扱う商品のサイズや重量、形状を事前に学習・登録したうえで固定的な動作プログラムを組む必要がありました。今回のように未学習の商品であっても、自然言語の指示から状況を判断して動作を自律生成できる仕組みは、多品種・少量で新商品が頻繁に入れ替わる現場の自動化ハードルを大きく引き下げます。シミュレーション段階の成果ではあるものの、環境変化や商品バリエーションに対してロボット側が柔軟に適応するフィジカルAIの有効性を示す検証結果です。
共通キーワード:「無人搬送の走行・仕分け制御」
2026年9月8日の3件は、幹線道路から鉄道接続、さらには物流倉庫の庫内に至るまで、荷物の移動と仕分けを人手を介さず自律的に制御しようとする動きで共通しています。
| 発表(2026年9月8日) | 無人化・自律化の対象工程 | 制御手段・技術 |
|---|---|---|
| 国交省(自動物流道路実証) | 専用空間における搬送機器の走行と拠点荷役 | 複数台の合流・車線変更制御とシミュレーション |
| エスビー食品・オタフクソース等4社(共同輸送実証) | 関東ー中国間の幹線輸送(往復) | 自動運転トラックと貨物鉄道の組み合わせ運行 |
| ダイフク・JDSC(フィジカルAI検証) | 倉庫内における商品のピッキング・仕分け | 自然言語指示に基づくAIエージェントの自律動作生成 |
ドライバーや庫内作業員の人手不足が進行する中、個別の自動化機器を単体で動かす段階から、複数台の並行制御、異種輸送モードの組み合わせ、AIによる未学習動作の自律化といった「制御の柔軟性と協調性」を高める段階へ移行していることが分かります。
編集部の視点:専用設備を持たない中小事業者が、無人化インフラに乗るための条件
中小事業者が取るべき現実的なアプローチは、先端技術を「自社で持つ」ことではなく、標準化された共同インフラや物流プラットフォームへ「相乗りできる状態を作る」ことです。例えば、自動運転トラックや共同モーダルシフトの枠組みを利用するためには、標準パレットへの適合や荷姿の統一、正確な出荷指示データの事前連携が必須となります。また、庫内の自律型ロボットを活用した高度な物流代行サービスを利用する場合も、商品マスタの整備やバーコード管理の徹底が前提条件となります。
自社独自の特殊な運用ルールや手作業前提の例外処理を残したままでは、進化する無人搬送や共同ネットワークの恩恵を受けることができません。中小EC事業者にとっての競争力は、巨額の設備投資を競うことではなく、オペレーションとデータを標準化し、外部の高度な物流インフラへいつでも円滑に接続できる身軽さを整えることにあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年9月8日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?
A. 主な発表は3件あります。国土交通省による自動物流道路の2026年度実証実験採択事業者の公表、エスビー食品やオタフクソースなど4社による自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた共同輸送実証の開始、ダイフクとJDSCによるフィジカルAIを活用した未学習商品の自律仕分け検証(成功率97%達成)です。
Q2. 自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせるメリットは何ですか?
A. 長距離の基幹部分に貨物鉄道を活用しつつ、接続区間や特定ルートに自動運転トラックを充てることで、ドライバー不足への抜本的な対策になります。さらに複数荷主が往路・復路で共同利用することで、空車運行を防ぎ積載効率を高めた安定輸送が可能になります。
Q3. 未学習商品を自律仕分けできる「フィジカルAI」とはどのような技術ですか?
A. 事前に商品の形状やサイズを個別にプログラミング学習させることなく、作業者の自然言語による指示やカメラ等の周囲情報からAIエージェントが自律的にロボットの動作を生成・実行する技術です。多品種少量や頻繁な商品入れ替えがある現場でのロボット導入を容易にします。
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更新履歴: 2026年9月9日 公開

