サプライチェーンのデータ連携と最適化|カウネット・ロジレス・日通の2026年8月22日動向

一般

この記事の要点

  • カウネットは宮澤典友社長が自らCLOに就任し、当日選択式サービスや共同配送、需要予測マテハン導入など多面的な物流改革の成果を公表した。
  • ロジレスは2026年8月21日、EC自動出荷システム「LOGILESS」とROMSのケース自動倉庫「Nano-Stream」とのAPI連携を開始したと発表した。
  • 日本通運は2026年8月22日、物流Webアプリ「DCX」において生成AIを活用した対話型データ分析機能「BI LLM Chat」の提供を開始したと発表した。
  • 3件から見えるテーマ:いずれも分断されていた調達・保管・出荷・分析の各プロセスを「データ連携」によって直結し、サプライチェーン全体の最適化を図る動きである。

物流業界における人手不足の深刻化や労働環境の是正が求められる中、個別の現場作業の効率化だけでなく、荷主・倉庫・輸配送・経営判断をつなぐサプライチェーン全体の最適化が急務となっています。2026年8月22日前後に発表された3件のニュースは、経営トップ主導の体制刷新、ソフトウェアと自動化マテハンのAPI直結、そして生成AIによるデータ分析の高度化という異なるアプローチから、「サプライチェーンのデータ連携と最適化」を進める取り組みとして共通しています。荷主企業が果たすべき責任を明確化するCLO(物流統括管理者)の設置や、現場の自動化を加速させるデータ基盤の整備は、持続可能なEC・通販物流の実現に向けた重要な鍵となります。


1.【企業戦略】カウネット、宮澤社長がCLOに就任し多面的な物流改革成果を公表

コクヨグループで購買管理システムおよびオフィス用品の法人向けECを展開する株式会社カウネットは、宮澤典友社長をCLO(Chief Logistics Officer/最高物流責任者)に選任し、改正物流効率化法に基づく経済産業省への届け出を完了したと発表しました。代表自らがCLOに就任することで物流改革を経営の最重要課題と位置づけ、これまで推進してきた各種施策の成果を明らかにしています。2025年に導入した「当日選択式サービス」では物量の約36%が翌日配送へ移行し、午後3時から6時台の配送集中が9.4ポイント緩和され、ドライバーの労働時間が一部で1時間短縮されるなどの成果を確認しました。また、2026年6月1日には配送料自社負担の注文基準を3,500円(税込)以上に変更したほか、2023年2月からは注文後10分以内であればWeb上でキャンセルできる機能を導入し、不要な配送の発生を抑止しています。さらに、仕入れ先からのパレット納品切り替えにより2時間を超える荷降ろし件数を年間17件から1件へ約94%削減(対象サプライヤー5社実績)し、異業種との共同配送によって年間約2,000台のトラック運行を削減(CO2排出量年間5.8トン抑制)しました。加えて、2026年2月に仙台市で竣工した「東北IDC」(2026年10月稼働予定)には日立製作所の次世代マテハンシステムを導入し、庫内生産性約40%向上、最大27万SKUの高密度保管、棚卸工数50〜70%削減を見込んでいます。

出典: LOGI-BIZ online「カウネット、宮澤社長自らCLOに就任」(2026年8月22日)

編集部の見方

代表取締役自らがCLO(物流統括管理者)に就任した背景には、物流の効率化が現場改善の域を超え、商習慣やサービス設計そのものの変革を必要としている実情があります。カウネットが公表した施策を見ると、配送時間枠の選択制、注文直後のキャンセル機能、配送料の基準改定など、ECのUI/UXや販売ポリシーに直接手を入れる内容が大きな成果を上げています。営業部門や顧客との利害調整を伴う意思決定をスピーディーに断行するには、経営トップ直轄の強いガバナンスが不可欠であることを示す好例です。


2.【DX】ロジレス、ROMSのケース自動倉庫「Nano-Stream」とAPI連携を開始

株式会社ロジレスは2026年8月21日、EC自動出荷システム「LOGILESS」の倉庫向けオプションプラン「LOGILESS Plus[WMS]」において、株式会社ROMSが提供するケース自動倉庫「Nano-Stream(ナノ・ストリーム)」とのAPI連携を開始したと発表しました。本連携により、商品マスタ、入出庫指示、在庫データがAPI経由でリアルタイムに同期されます。Nano-Streamは100平方メートル程度の省スペースから導入できる国内フル内製のケース自動倉庫で、中軽量棚比で約3倍の保管効率や、作業人員を4人体制から1人運用相当へ省人化できる能力を備え、最短4〜6ヶ月の短納期を実現しています。今回の連携により、LOGILESS上の受注・出荷データがNano-Streamへ自動反映されるとともに、ピッキング完了後のバーコード読み取りによって対応配送キャリアの送り状を即座に出力できるようになります。これによりCSV取り込みなどの手作業やシステム間の在庫差異を排除した運用が可能となり、複数荷主の保管や買い合わせ商品のリレーピッキングにも対応します。なお、本連携はファーストユーザーにおいて既に稼働を開始しています。

出典: 株式会社ロジレス「LOGILESSがROMSの自動倉庫「Nano-Stream」と初のシステム連携パートナーとしてAPI連携を開始」(PR TIMES/2026年8月21日)

編集部の見方

これまで自動倉庫をはじめとする高度なマテハン設備の導入は、個別のシステム開発費用や長期にわたるインテグレーション期間が必要とされ、中小規模のEC事業者や受託倉庫にとっては導入障壁の高い領域でした。クラウド型OMS/WMSと小型・モジュール型の自動倉庫が標準APIで直結したことは、設備導入の心理的・費用的ハードルを大きく引き下げる意味を持ちます。受注データがそのまま物理的な自動ピッキング指示へと変換され、送り状発行まで人の手を介さずに流れる環境は、EC物流の省人化を一段上のステージへ進める実践的なモデルケースといえます。


3.【技術】日本通運、物流Webアプリ「DCX」で生成AI対話機能「BI LLM Chat」を提供開始

日本通運株式会社は2026年8月22日、AI搭載型物流Webアプリ「DCX(デジタル・コマース・トランスフォーメーション)」のデータ分析オプションサービス「Business Insight」において、大規模言語モデル(LLM)を活用した新機能「BI LLM Chat」の提供を開始したと発表しました。本機能は、「Business Insight」に蓄積された物流データと外部情報を組み合わせ、ユーザーが自然言語でAIと対話しながらデータ分析や状況把握を行えるようにする仕組みです。複雑な操作や専門知識を必要とせず、迅速な意思決定を支援することを目的としています。

出典: LOGI-BIZ online「日本通運、物流Webアプリ「DCX」で AIと対話できる新機能「BI LLM Chat」の提供を開始」(2026年8月22日)

編集部の見方

物流オペレーションでは日々膨大な入出荷実績や在庫データが蓄積されますが、それをBIツール等で集計し、ボトルネックを特定して改善策を導く作業には一定のスキルと工数を要していました。LLMを活用した対話型インターフェースがデータとユーザーの間に入ることで、誰もが直感的に「配送遅延の要因」や「在庫回転の異常値」を即座に引き出せるようになります。データ分析の属人化を解消し、荷主や物流管理者が直感的な問いかけから素早くアクションを起こせる環境を整えることは、意思決定スピードの向上に寄与します。


共通キーワード:「サプライチェーンのデータ連携と最適化」

2026年8月22日前後の3件のニュースは、アプローチの領域こそ「経営戦略」「倉庫内DX」「データ分析技術」と多岐にわたるものの、点在する物流データを連携させ、サプライチェーン全体の最適化を目指すという方向性で一致しています。

発表主体 最適化の対象領域 データ連携・活用の手段
カウネット(企業戦略) 調達・受注・配送の全体プロセス CLO直轄体制による需要予測AI、共同配送、受注・配送平準化施策
ロジレス(DX) 倉庫内の保管・ピッキング・出荷工程 OMS/WMS「LOGILESS」と自動倉庫「Nano-Stream」のAPI直結
日本通運(技術) 物流データの分析と迅速な意思決定 物流Webアプリ「DCX」へのLLM対話機能「BI LLM Chat」の実装

物流2024年問題以降、輸送能力の制約が顕在化する中で、現場の単独努力だけでコスト上昇や人手不足を吸収することは限界に達しています。カウネットのように荷主企業が受注や配送の仕組みを見直して負荷を平準化する取り組み、ロジレスのように受注データから物理的なマテハン搬送までをAPIで一気通貫につなぐ仕組み、そして日本通運のように蓄積データをAI対話で即座に経営判断へつなげる仕組みは、すべてデータ連携を軸としたサプライチェーン全体の最適化という大きな潮流を反映しています。


編集部の視点:EC・通販物流におけるデータ連携の実務的価値

EC・通販物流の実務において、データ連携の不備は出荷遅延やコスト増大の直接的な原因となります。自社ECや複数モール、定期通販システムなどから入る受注データと、倉庫現場のWMSやマテハン設備、さらには配送業者のシステムが分断されていると、その境界ごとに「CSVの手作業加工」「在庫の二重管理」「帳票発行のタイムラグ」といったロスが必ず発生します。

カウネットの取り組みが示したように、注文締め時間の分散やキャンセル処理の自動化がシステム上でスムーズに行えなければ、倉庫現場は急激な出荷波動や無駄なピッキング作業に振り回され続けます。また、ロジレスとROMSの連携事例のように、OMS/WMSに入った受注指示がそのまま自動倉庫の物理動作に直結する環境が整えば、出荷締め切り時刻をギリギリまで引き延ばしながら、最小限の人員でミスなく出荷を完了させることが可能になります。

EC事業者が安定した成長を続けるためには、受注から倉庫内作業、配送、データ分析に至る一連のプロセスを、人の介在を最小限に抑えたデータ連携基盤として構築することが極めて重要です。システム間の壁を取り払い、注文情報をリアルタイムに現場のオペレーションへ変換できる体制を整えることが、これからのEC・通販物流における最大の差別化要因となります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年8月22日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?

A. 主な発表は3件あります。カウネットによる宮澤社長自らのCLO就任と多面的な物流改革成果の公表、ロジレスによるEC自動出荷システム「LOGILESS」とROMSのケース自動倉庫「Nano-Stream」のAPI連携開始、日本通運による物流Webアプリ「DCX」でのAI対話機能「BI LLM Chat」提供開始です。

Q2. なぜ荷主企業において経営トップがCLOに就任する動きがあるのですか?

A. 改正物流効率化法への対応だけでなく、配送時間帯の選択制導入や配送料基準の改定、出荷の平準化といった施策が、営業方針やサービス仕様の変更を伴うためです。物流部門単独の判断では実行が困難な改革を、経営トップ直轄で全社横断的に推進する体制が求められています。

Q3. OMS/WMSと自動倉庫がAPI連携することの具体的なメリットは何ですか?

A. 受注データから自動倉庫のピッキング指示、送り状の発行までがシステム間でシームレスに連動するため、CSVの取り込みやデータ加工の手作業が不要になります。システム間の在庫差異を防ぎ、少人数でもスピーディーかつミスのない出荷体制を構築しやすくなります。


関連記事: CLO(物流統括管理者)とは? / 物流2024年問題とは? / モーダルシフトとは?

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執筆: はぴロジNEWS編集部
物流業界の制度・技術・企業動向を、EC・通販物流の実務目線で読み解くメディアです。運営は株式会社はぴロジ(東京都港区虎ノ門)。

更新履歴: 2026年8月23日 公開

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