この記事の要点
- 国土交通省と経済産業省は2026年8月19日、内航海運の省エネルギー化や非化石エネルギー転換に向けた実証事業の3次公募を開始した(公募期間は2026年9月9日まで)。
- Exotec NihonとMujin Japanは2026年8月19日、倉庫内の入荷から出荷までを一貫して自動化するソリューションの提供に向けた業務提携を発表した。
- 丸井グループ傘下のムービングは2026年8月19日、ホワイト急便のFC加盟店エス・クリーニングと連携し、ZOZOTOWN商品の返品受付サービス「トルダス」の実証実験を2026年8月21日より開始すると発表した。
- 3件から見えるテーマ:幹線輸送のエネルギー転換、倉庫内ロボティクスの統合、生活インフラを使った返品回収など、各工程を個別最適から「サプライチェーン全体の最適化」へと拡張する動きが進んでいる。
物流の効率化や持続可能性の向上を目指す取り組みは、個別現場の改善にとどまらず、輸送・倉庫・ラストワンマイルの各工程をつなぐサプライチェーンの全体最適化へとシフトしています。トラック輸送の制約などを背景にモーダルシフトへの関心が高まる中、2026年8月19日に発表された3件のニュースは、政策・技術・企業戦略という異なるアプローチから、サプライチェーン全体の結びつきを再設計する動きを示しています。
1.【政策】国交省と経産省、内航海運の省エネ実証事業で3次公募を開始
国土交通省と経済産業省は2026年8月19日、内航海運における省エネルギー化および非化石エネルギーへの転換を推進するため、実証事業の3次公募を開始しました。公募期間は2026年9月9日(午後5時必着)までとなっており、内航海運事業者などを対象に対象経費の2分の1以内が補助されます。実証事業では、省エネ船型や高効率プロペラ、高効率エンジンといった「ハード対策」と、運航計画や配船計画の最適化などの「ソフト対策」を組み合わせて船舶の省エネ化を目指すほか、水素燃料電池やバッテリーの導入による非化石エネルギー転換事業も補助の対象となります。
出典: LNEWS「国交省ほか/内航海運の省エネなどに向けた実証実験の3次公募、9月9日まで」(2026年8月19日)
編集部の見方
トラック輸送の供給力制約が続く中、大量輸送を担う海上輸送への転換はサプライチェーン維持の重要手段となっています。今回の公募で注目すべきは、船体やエンジンの改良といった設備投資だけでなく、「運航・配船計画の最適化」というソフト面の運用改善がハード対策とセットで対象になっている点です。船舶単体の燃費向上だけでなく、運航全体の無駄を省くデータ活用や計画の精緻化を進めることで、輸送網全体での脱炭素と安定稼働の両立を目指す狙いがうかがえます。
2.【技術】ExotecとMujin、入荷から出荷まで倉庫内をシームレスにつなぐ自動化で業務提携
Exotec Nihon株式会社と株式会社Mujin Japanは2026年8月19日、物流センター全体の自動化ソリューション提供に向けて業務提携したと発表しました。両社は、Exotecの3次元立体走行ロボット「Skypod」とMujinのパレット荷役・搬送ロボティクス技術を組み合わせ、入荷、保管、ピッキング、搬送、出荷までの各工程を一つの構想でつなぐ統合型ソリューションを提供します。倉庫自動化において設備が工程ごとに個別導入され、システム連携が不足して運用の複雑化やサイロ化を招いている課題に対し、全体最適化された物流基盤の構築を支援します。両社は2026年9月開催の「国際物流総合展2026」において、相互のロボット展示やライブ映像配信などのコラボレーション展示を実施する予定です。
出典: Exotec Nihon「ExotecとMujin、物流インテグレーションの強化に向け業務提携 「国際物流総合展2026」でコラボレーション展示を実施」(PR TIMES/2026年8月19日)
編集部の見方
倉庫の自動化において、保管やピッキングなど特定工程だけにロボットを導入した結果、前後工程との接続でボトルネックが発生する「部分最適の罠」は多くの現場が直面する課題です。立体自動倉庫を得意とするExotecと、パレット荷役やロボット制御プラットフォームに強みを持つMujinが連携することは、工程間の隙間を埋めて入荷から出荷までのデータの流れと荷物の流れを一本化することを意味します。複数ベンダーの機器を統合制御するインテグレーションの重要性が高まる中、ベンダー同士が連携して統合ソリューションを提示する動きは、今後のマテハン選定に大きな影響を与えそうです。
3.【企業戦略】丸井グループ、ホワイト急便加盟店でZOZOTOWNの返品受付「トルダス」実証実験を開始
株式会社丸井グループの物流事業会社である株式会社ムービングは2026年8月19日、クリーニング「ホワイト急便」のFC加盟店である株式会社エス・クリーニングと連携し、EC商品の返品・発送サービス「トルダス(trds)」の実証実験を開始すると発表しました。本実証は2026年8月21日より順次開始され、ホワイト急便の加盟店舗においてファッションECサイト『ZOZOTOWN』の返品受付を行います。トルダスはECで購入した商品の受取・返品・発送をリアル店舗で行えるサービスで、これまでマルイ・モディを中心に展開されてきましたが、日常的な生活動線上にあるクリーニング店舗ネットワークを活用することで、利用者の利便性向上や再配達削減、新たな出店モデルの検証を目指します。
出典: 株式会社丸井グループ「『ZOZOTOWN』の返品をより便利に!EC返品・発送サービス「トルダス(trds)」をクリーニング「ホワイト急便」加盟店で展開開始」(PR TIMES/2026年8月19日)
編集部の見方
ファッションECにおける返品(静脈物流)は、購入者にとって梱包や発送の手間が大きく、配送事業者にとっても戸別集荷の負荷や再配達の原因になりやすい工程です。クリーニング店という地域密着の生活動線上に返品拠点を設けるアプローチは、消費者のついで利用を促すだけでなく、返品貨物を集約して回収効率を高める効果が期待できます。商業施設内の自社拠点から外部の生活インフラへと連携網を広げることで、ECのラストワンマイルおよびリバースロジスティクスを社会全体で効率化する試みとして注目されます。
共通キーワード:「サプライチェーンの全体最適化」
2026年8月19日に発表された3件のニュースは、輸送、倉庫内オペレーション、EC返品回収という異なる領域を扱いながら、いずれも個別工程の改善を超えた「サプライチェーンの全体最適化」を志向している点で共通しています。
| 発表(2026年8月19日) | 対象となる工程・領域 | 全体最適化への手段 |
|---|---|---|
| 国土交通省・経済産業省(実証3次公募) | 内航海運(幹線輸送) | 省エネ設備(ハード)と配船計画最適化(ソフト)の統合支援 |
| Exotec・Mujin(業務提携) | 物流センター内(入荷〜保管〜出荷) | 立体自動倉庫と荷役ロボティクスの統合によるサイロ化解消 |
| 丸井グループ・エス・クリーニング(トルダス実証) | EC返品・ラストワンマイル(静脈物流) | クリーニング店舗網を活用した返品受付と生活動線インフラ化 |
物流の課題解決は、単一の工程に新しい設備や技術を導入するだけでは達成できません。内航海運では船体技術と運航計画の連携、倉庫内では荷役と保管・ピッキングの連携、EC物流では購入から返品・回収までの導線連携が求められています。各社および行政が、工程間の分断をなくし一貫した流れを作る方向へと舵を切っていることが分かります。
編集部の視点:分断されたデータを統合し、出荷から返品までを一気通貫で設計する
例えば、倉庫内でどれほどピッキングロボットを導入して作業を高速化しても、受注データの取り込みや在庫引当、出荷指示データの変換がスムーズに行われなければ、倉庫の稼働効率を最大限に引き出すことはできません。また、ECの成長に伴い返品や交換の対応が増加する中、出荷(動脈物流)だけでなく返品(静脈物流)までを含めたステータス管理や在庫の再計上を一連のフローとして整えておく必要があります。
工程ごとの個別最適に留まらず、受注から倉庫出荷、配送、さらには返品受付までをシームレスにつなぐデータ基盤を構築することが、オペレーション負荷の軽減と持続可能なEC運営の鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年8月19日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?
A. 主な発表は3件あります。国土交通省と経済産業省による内航海運の省エネ・非化石化実証事業の3次公募開始、ExotecとMujinによる物流センター全体の自動化に向けた業務提携、丸井グループ(ムービング)によるホワイト急便加盟店を活用したZOZOTOWN返品受付サービス「トルダス」の実証実験開始です。
Q2. ExotecとMujinの業務提携によってどのようなメリットが生まれますか?
A. Exotecの立体自動倉庫システムとMujinの荷役・搬送ロボティクス技術が連携することで、倉庫内の入荷、保管、ピッキング、搬送、出荷までの各工程が統合されます。工程ごとのサイロ化や運用の複雑化を防ぎ、倉庫全体の生産性向上とシームレスな自動化が実現しやすくなります。
Q3. EC返品サービス「トルダス」がクリーニング店で展開される意義は何ですか?
A. 利用者が日常的に訪れるクリーニング店舗を返品窓口とすることで、生活動線上で手軽にEC商品の返品手続きが可能になります。ユーザーの利便性向上だけでなく、戸別集荷の削減や貨物の集約回収による配送効率化、再配達削減といった環境負荷の低減にもつながります。
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更新履歴: 2026年8月20日 公開

