こんにちは、はぴロジNEWS編集部です。物流2024年問題を通過した現在も、物流業界は「ドライバー不足」という構造課題への対応を迫られ続けています。2026年7月中旬〜下旬に発表された注目ニュースの中から、この課題に「処遇改善」「省人化」「事業モデル転換」という3つの角度から応える動きを3つピックアップし、これからの物流に必要な視点を紐解きます。
2026年7月中旬〜下旬の注目物流ニュース3選
1.【政策】国交省、トラック「適正原価」の有識者検討会が初会合(7月17日)
国土交通省は7月17日、いわゆる「トラック適正化二法」(2025年6月成立)に基づく「適正原価」の設定に向けた有識者検討会の初会合を開きました。適正原価とは、運送を行う際に国が定める水準を継続的に下回ってはならないとする新ルールで、多重下請け構造の是正や取引適正化を狙い、2028年度の本格施行が見込まれます。今後、関係者ヒアリングを経て年内に提言を取りまとめる予定です。ドライバーの処遇改善を価格の面から支える制度整備として注目されます。
2.【技術】アイリスオーヤマ・T2ら、自動運転トラック×鉄道「モーダルコンビネーション」で連携(7月17日)
荷主のアイリスオーヤマ、NLP協同組合、自動運転トラック開発のT2の3者は7月17日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた輸送(モーダルコンビネーション)の実証に取り組み、今後の定期運行を視野に連携すると発表しました。T2が開発する自動運転トラックとJR貨物の鉄道ネットワークを融合させ、ドライバー不足下でも持続可能な幹線輸送体系を構築する狙いです。荷主・物流事業者・自動運転スタートアップが横断的に組む座組みは、モーダルシフトの発展形と言えます。
3.【企業戦略】NXHD、「NXグループ統合報告書2026」を発行(7月13日)
国内最大手物流グループのNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は7月13日、「NXグループ統合報告書2026」を発行しました。①資産売却で得た原資の事業モデル転換・利益成長への活用、②アジアの強みを起点としたEnd to Endソリューションの加速、③サステナビリティ経営と事業活動の一体化——の3点を柱に据えます。アセットを抱え込む従来型から、身軽で付加価値の高い事業モデルへ転換しようとする大手の構造改革の方向性を示すものです。
今回の共通キーワード:担い手不足への「構造対応」
今回の3つのニュースに共通するキーワードは、ドライバーをはじめとする「担い手不足」への構造対応です。①の適正原価は処遇改善で担い手を確保する動き、②のモーダルコンビネーションは自動運転と鉄道による省人化、③のNXHDの統合報告書は事業モデルそのものの転換——いずれも、人手が有限であることを前提に、価格・技術・経営の各レイヤーで物流を組み替えようとする取り組みです。対症療法ではなく、構造から変える動きが同時多発している点が、2026年夏の物流の特徴です。
【識者の目】「もっと運ぶ」から「賢く配分する」へ
かつて物流の改善とは、「いかに多く・速く運ぶか」の追求でした。しかし担い手が構造的に不足する現在、問われているのは「有限の輸送力を、どこにどう配分するか」です。今回の3つのニュースは、その配分を成立させるための3本の柱を示しています。
適正原価(処遇)は、そもそも運ぶ人を確保するための土台です。モーダルコンビネーション(省人化)は、少ない人手で幹線を動かす技術的な解。そしてNXHDの事業モデル転換は、アセットを抱え込まず外部と連携する経営の解です。価格・技術・経営の3層が噛み合ってはじめて、担い手不足の時代の物流は回ります。そして、この3層を横断して意思決定を下す司令塔こそが、2026年4月に義務化されたCLO(物流統括管理者)なのです。」
物流の構造改革に関するFAQ(よくある質問)
Q1. トラックの「適正原価」とは何ですか?
A. 運送を行う際に国が定める水準を継続的に下回ってはならないとする新ルールです。「トラック適正化二法」に基づき、多重下請け構造の是正やドライバーの処遇改善を狙って検討が進み、2028年度の本格施行が見込まれます。
Q2.「モーダルコンビネーション」とはモーダルシフトと何が違うのですか?
A. モーダルシフトが「トラックから鉄道・船へ切り替える」ことを指すのに対し、モーダルコンビネーションは自動運転トラックと鉄道など複数の手段を組み合わせて連続した輸送網をつくる発展形です。省人化と幹線輸送の両立を狙います。
Q3. なぜ今、物流各社は「構造対応」を急いでいるのですか?
A. 2024年問題以降、ドライバーの労働時間に上限がかかり、輸送力が構造的に不足しているためです。価格(適正原価)・技術(自動運転・鉄道)・経営(事業モデル転換)の各レイヤーで、人手が有限であることを前提とした組み替えが同時に進んでいます。
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