配送先と受取方法の指定をきめ細かく|埼玉県・JR貨物・セルフプラスの2026年9月26日動向

配送先と受取方法の指定をきめ細かく整える 一般

この記事の要点

  • 埼玉県は2026年9月25日、再配達削減に向け置き配バッグ等を無償提供して多様な受取手段を体験する県民モニター500人の募集を開始したと発表した。
  • JR貨物北海道支社などは2026年9月18日、札幌からオホーツク・根釧地域へ生活必需品を運ぶ貨物鉄道輸送の実証事業を開始すると発表した。
  • セルフプラスは2026年9月17日、Shopify上で商品ごとに配送先を指定して注文を自動分割するアプリ「MultiShip」を公開した。
  • 3件から見えるテーマ:いずれも荷物の送り先や受け取り手段の指定をきめ細かく細分化し、輸送や受け取りの負担を分散させる取り組みである。

ECの利用拡大やドライバー不足が続く中、ラストワンマイルの荷受けや地方への生活必需品輸送において、受け取り手や送り先の都合に合わせた柔軟な配送体制の構築が求められています。2026年9月26日に報じられた3件のニュースは、置き配バッグの活用、鉄道貨物の空きスペース活用によるモーダルシフト、ECでの複数宛先指定アプリと、それぞれ「配送先や受け取り手段の指定」をきめ細かく整えることで物流2024年問題などの輸送課題に対応しようとしています。


【政策】埼玉県、置き配やロッカーなど多様な受取方法を体験するモニター500人を募集

埼玉県は2026年9月25日、再配達の削減を目指す「宅配を1回で受け取ろうキャンペーン」の一環として、一般社団法人埼玉県トラック協会と連携し、多様な荷物の受け取り方法を促進するモニター調査を実施すると発表しました。対象は置き配バッグ未利用者かつ宅配ロッカー未設置住宅に暮らす県民500人で、選定されたモニターには置き配バッグ等が無償提供されます。調査期間は2026年12月1日から2027年1月31日までで、置き配や宅配ロッカー、コンビニ受け取り、時間指定などを実践してもらい、利用状況や再配達理由に関するアンケートを通じて行動変容を確認し、2027年3月に結果を公表する計画です。

出典: LOGI-BIZ online「埼玉県、「宅配を1回で受け取ろうキャンペーン」で多様な受け取り方法を体験するモニター500人募集」(2026年9月26日)

編集部の見方

再配達の削減に向けた呼びかけにとどまらず、物理的な置き配バッグの無償提供と実際の受け取り体験をセットで提供している点が実務的です。再配達の発生要因は受け取り側の設備や習慣に依存する部分が大きいため、初期費用や設置の手間といった導入障壁を取り払うアプローチは有効と言えます。宅配大手3社とも連携して500人規模で検証を行うことで、消費者の行動変容を促す具体的な施策モデルとなるかが注目されます。


【企業戦略】JR貨物など、道内生産地域への生活必需品供給に向けた新モーダルシフト実証を展開

JR貨物北海道支社、国分北海道、北海道などで構成される北海道「新モーダルシフト」推進協議会は、札幌エリアからオホーツク・根釧地域へ日用品や加工食品などの生活必需品を運ぶ貨物鉄道輸送の実証事業を展開すると発表しました。札幌圏から生産地域へ向かうコンテナの空回送余力を活用し、従来トラックで運ばれていた多品種・小ロットの生活物資をパレット単位で鉄道輸送します。国分北海道やセイコーフレッシュフーズなどの荷主が参加し、集荷時のミルクランや着駅側での配送、資材回収、コスト受容度までを一体的に検証して標準モデル化を目指します。

出典: LOGI-BIZ online「JR貨物など、北海道内生産地域への生活必需品安定供給に向け「新モーダルシフト」の実証事業を展開」(2026年9月26日)

編集部の見方

農水産物を大ロットで本州方面へ送る往路に対し、復路で生じる「空コンテナ回送」を活用して地方へ消費物資を届けるという、片荷輸送の解消に踏み込んだ取り組みです。鉄道貨物が従来苦手としていた「多品種・小ロット」の荷物を、パレット化とミルクラン(巡回集荷)によってまとめる運用設計が鍵となります。着駅からのラストワンマイル配送や資材回収までを一貫して検証対象に含めている点に、単なる輸送テストを超えた実運用への本気度が表れています。


【DX】セルフプラス、商品ごとに配送先を指定して注文を自動分割するShopifyアプリを公開

株式会社セルフプラスは2026年9月17日、Shopifyストア向けに商品ごとに異なる配送先を指定できるアプリ「MultiShip|複数配送先」をShopifyアプリストアで公開しました。Shopifyの標準機能では1回の注文で指定できる配送先が1か所に限られていましたが、本アプリを導入することで、カート内の商品や数量ごとに別々の配送先を割り当てて一括購入できるようになります。購入完了後は注文データが配送先ごとの出荷単位へ自動的に分割されるため、ストア側は宛先ごとにピッキングや送り状発行を進めることが可能です。

出典: PR TIMES「商品ごとに配送先を指定、注文を自動分割するShopifyアプリ「MultiShip」を公開」(2026年9月25日)

編集部の見方

お中元やお歳暮、法人向けまとめ買いなどにおいて、宛先ごとに何度も注文や決済を繰り返さなければならなかった購入者の離脱要因を解消する機能です。フロントエンドでの購入体験を滑らかにしつつ、バックヤードでは配送先ごとに注文を自動分割することで、出荷指示や送り状発行のオペレーションを崩さない設計になっています。EC事業者のコンバージョン率改善と倉庫側の出荷業務のスムーズな連携を両立させるアプローチと言えます。


共通キーワード:「配送先と受取方法の指定」

2026年9月26日の3件は、輸送モードや対象となる商材は異なりますが、いずれも荷物の配送先や受け取り方法を柔軟かつ的確に指定できる仕組みを整える動きで共通しています。

発表(2026年9月26日) 指定を細分化・柔軟にする対象 実現する手段
埼玉県(モニター調査) 自宅や生活動線に応じた荷物の受取方法 置き配バッグの提供と多様な受取手段の実践
JR貨物など(新モーダルシフト) 道内生産地域への生活必需品の輸送便 空コンテナ余力の活用とパレット・ミルクラン輸送
セルフプラス(MultiShip) ギフト等の商品別配送先と出荷単位 カート内での宛先割当と注文データの自動分割

物流の逼迫や人手不足が進む中、画一的な輸送や受け取り方法に依存していては、再配達の増加や輸送力の枯渇といった問題に直面します。受取手の環境に応じた受け取り手段の分散(埼玉県)、空きコンテナを活用した地方向け小口輸送の指定(JR貨物)、購入者の意図に応じた複数配送先の指定(セルフプラス)と、送り手と受け手をつなぐ指定の粒度を細かくすることが、流通全体の円滑化につながっています。


編集部の視点:受取や配送先指定の不自由さが、ECの購入体験と顧客満足度を損ねている

ECや通販における「買い手の体験」は、商品の魅力やサイトの見やすさだけでなく、注文時の指定のスムーズさや、届くときの受け取りやすさによって大きく左右されます。複数人にギフトを贈る際に宛先ごとに何度も決済をやり直させたり、日中不在がちな顧客に対して置き配や受取場所の選択肢がなかったりすると、購入者は強いストレスを感じて注文を途中で断念したり、次回以降の利用を敬遠したりします。

セルフプラスのアプリが提供するようなカート内での複数配送先指定や、埼玉県が検証する置き配バッグなどの多様な受取手段は、まさに買い手のストレスを解消し、購入体験の質を引き上げる取り組みです。お中元・お歳暮シーズンやギフト需要において、宛先入力の手間を減らせるかどうかは、ECサイトのコンバージョン率やリピート率に直結する重要な要素となります。

ただし、買い手にとって利便性の高い配送指定を受け付けるほど、裏側のバックヤードでは注文データの分割や配送方法ごとの仕分けといった作業負荷が増加します。顧客に快適な購買・受取体験を提供しながら、現場の出荷オペレーションを混乱させないためには、フロントの注文管理と倉庫側の出荷管理が密接に連携し、細分化された指定をミスなく処理できる運用体制を整えておくことが欠かせません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年9月26日の物流ニュースで注目すべき発表は何ですか?

A. 主な発表は3件です。埼玉県による置き配バッグ無償提供を含む多様な受け取り方法を体験する県民モニター500人の募集、JR貨物北海道支社などによるオホーツク・根釧地域向け生活必需品の「新モーダルシフト」実証事業、セルフプラスによる商品ごとに配送先を指定して注文を自動分割するShopifyアプリ「MultiShip」の公開です。

Q2. ECサイトで複数のお届け先を一括指定できるようにするメリットは何ですか?

A. ギフトやお中元・お歳暮などで複数人に商品を贈る際、購入者が宛先の数だけ注文や決済を繰り返す手間を解消し、購入途中での離脱を防ぐことができます。また、注文完了後に配送先ごとの出荷単位へ自動分割される仕組みを導入することで、倉庫側のピッキングや送り状発行を効率的に進められます。

Q3. 地方への生活必需品輸送でモーダルシフトを進める狙いは何ですか?

A. トラックドライバー不足や労働時間規制により長距離輸送の維持が難しくなる中、札幌圏から地方生産地域へ向かう鉄道コンテナの空きスペースを活用して代替輸送手段を確保し、生活物資を安定供給するためです。トラック輸送の負担軽減や災害時の代替性確保、脱炭素化にも寄与します。


関連記事: CLO(物流統括管理者)とは? / 物流2024年問題とは? / モーダルシフトとは?

物流アウトソーシング・OMS/WMSのご相談

物流アウトソーシング、OMS・WMSなどのシステム相談は、株式会社はぴロジへ。
EC・通販事業者の受注管理から倉庫連携・出荷までをクラウドで一元化する流通統合システム「logiec(ロジーク)」と、提携倉庫を活用した物流アウトソーシングをご提供しています。

執筆: はぴロジNEWS編集部
物流業界の制度・技術・企業動向を、EC・通販物流の実務目線で読み解くメディアです。運営は株式会社はぴロジ(東京都港区虎ノ門)。

更新履歴: 2026年9月27日 公開

タイトルとURLをコピーしました